最終確認:2026年10月2日
結論からいうと、FANZAでVisaが全面的に使えないわけではありません。公式ヘルプではVISA / JCB / DINERSが利用できますが、FANZAブックス、FANZAブックス読み放題、FANZA同人はVisa非対応で、JCB / DINERSのみです。
2024年のVisa停止について、FANZAが具体的な理由や再開時期を公表した一次資料は確認できません。米国のMindGeek/Pornhub訴訟やVisa・Mastercardの成人向け加盟店規則強化は重要な制度的背景ですが、FANZA停止との直接因果を示す資料は未確認です。本記事では、現在の利用可否と確認済みの国際的背景を分けて整理します。
結論:Visaの利用可否はサービスごとに違う
| サービス | Visa | JCB / DINERS | PayPay |
|---|---|---|---|
| FANZA動画 | ○ | ○ | ○ |
| FANZAブックス | × | ○ | ○ |
| FANZAブックス読み放題 | × | ○ | × |
| FANZA同人 | × | ○ | ○ |
| FANZA通販 | ○ | ○ | ○* |
* PayPayはFANZA通販で利用できますが、書籍、出店者販売商品、予約商品のキャンセル待ち申込時、抽選販売商品の申込時など一部例外があります。支払方法は変更される可能性があるため、購入時はFANZA公式ヘルプを確認してください。
FANZAのVisa停止はいつまで?理由は?
なぜVisaが使えないのですか?
FANZAのVisa停止について、デジタルコマースやVisaが具体的な理由を公表した一次資料は確認できません。したがって、「米国の訴訟が直接の原因だった」「成人向けコンテンツだから一律に止められた」と断定することはできません。
一方で、背景として無視できないのが、2020年以降に国際カードネットワークが成人向けコンテンツ事業者への審査・管理要件を強化してきた流れです。Visaは成人向け事業者を違法取引リスクが高いカテゴリーとして追加審査・監視の対象にしていると説明し、Mastercardも年齢・本人確認、出演者の同意確認、公開前レビュー、苦情処理などを成人向け事業者に求めています。したがってFANZAの事例は、個別の停止理由は非公表だが、国際的に決済ネットワークのコンプライアンス要求が強まった時期に起きた、というところまでは確認できます。
Visaはいつまで使えないのですか?
2026年10月2日時点の公式ヘルプでは、ブックス・ブックス読み放題・同人はVisa非対応として案内されています。これらサービスについてVisa利用再開の具体的な時期は、今回確認した公式案内では確認できません。「○月に再開する」といった日付は、公式発表が出るまでは掲載しません。
PayPayなら支払えますか?
サービスによります。FANZA動画、FANZAブックス、FANZA同人、FANZA通販などではPayPayが案内されていますが、FANZAブックス読み放題ではPayPayは利用できません。通販にも一部対象外があります。利用するサービス単位で公式の支払方法を確認する必要があります。
DMM全体でVisaが使えないのですか?
いいえ。本記事で確認している制限はFANZA内でもサービスごとに異なります。「DMM」「FANZA」という事業者名だけで一括して判断せず、実際に購入するサービスの支払方法を見るのが確実です。
2020年以降の国際的な流れとFANZAの位置づけ
2020年12月|MindGeek系サイトでカード受入停止
VisaはPornhubなどMindGeekのユーザー投稿型サイトでカード受入を停止し、Mastercardも同サイトでの利用終了を決定しました。
意味:成人向けプラットフォームの違法・非同意コンテンツ管理が、決済ネットワークのリスク管理問題として顕在化しました。
2021年4月|Mastercardが成人向け事業者への要件を強化
年齢・本人確認、同意確認、公開前レビュー、苦情処理などの要件強化を公表しました。
意味:カード会社のネットワーク規則が、アクワイアラー経由でプラットフォーム運営条件へ影響する構造が明確になりました。
2021年6月|FleitesらがMindGeek・Visaなどを提訴
Serena Fleitesらが米国で提訴し、後に原告は分離されてFleitesの個別訴訟が継続しました。
意味:決済ネットワークが第三者コンテンツの収益化に関してどこまで法的責任を負いうるかが争点になりました。
2022年7〜8月|裁判判断後にTrafficJunkyでカード受入停止
米連邦地裁がVisaの却下申立てを一部退けた後、VisaとMastercardはMindGeekの広告部門TrafficJunkyでカード受入を停止しました。
意味:訴訟リスクとネットワーク・コンプライアンスが直接接続した事例です。ただし当時は訴答段階で、Visaの責任が確定した判決ではありません。
2024年6月|FANZA同人でVisa決済を一時停止
FANZA同人でVisa決済が一時停止し、FANZAブックスでもVisaが利用できない状態になりました。
意味:日本のコンテンツ系サービスでも国際ブランドの利用停止が相次いだ時期です。
2024年9月|PayPay対応が拡大
FANZA動画、ブックス、同人などでPayPay対応が広がりました。
意味:特定カードブランドへの依存を下げる代替決済の拡張とみることができます。
2025年9月|Fleites事件でVisaに対する一部請求が棄却
Visaの第2修正訴状に対する却下申立てが認められ、Visaに対する一部請求は棄却されました。
意味:2022年の中間判断を「Visaの責任確定」と読むのは不正確です。
2026年10月2日|FANZAではサービス単位のVisa制限が継続
公式ヘルプ上、ブックス・読み放題・同人はJCB / DINERSのみで、FANZA全体ではVisaを使えるサービスも残っています。
意味:現在も「FANZA全面停止」ではなく、サービス単位の制限です。
アメリカの訴訟がFANZAのVisa停止の原因なのか
結論から言うと、米国の訴訟がFANZAのVisa停止を直接引き起こしたと示す一次資料は確認できません。ただし、成人向けコンテンツと決済をめぐる国際的な制度環境を理解するうえで、米国の訴訟は重要な背景です。
Fleites v. MindGeekで何が争われたのか
2021年6月に提起されたFleites事件は、Pornhub等を運営していたMindGeekのサイトに未成年者の性的搾取コンテンツが掲載・収益化されたことをめぐり、MindGeekだけでなくVisaの責任も争った訴訟です。提訴時にはSerena Fleitesと複数のJane Doe原告が含まれていましたが、2022年2月に裁判所が原告を分離し、その後の2022年7月29日のVisaに関する判断はFleites個人の事件として出されています。
この2022年判断では、裁判所はVisaに対する一部の請求を訴答段階で残しました。ただしこれは、原告の主張を真実と仮定して法的に請求が成り立ち得るかをみる段階であり、Visaの責任を事実認定した判決ではありません。Visa自身も当時、判断に強く異議を唱えています。さらに2025年9月には、Visaの第2修正訴状に対する却下申立てが認められ、直接的な受益者責任など一部請求は棄却されました。
「集団訴訟」という記憶はどこから来るのか
MindGeekをめぐっては、Fleites事件とは別に、未成年時にMindGeek系サイトに掲載された人々を対象とする集団訴訟も進行しています。そのため「Pornhub/MindGeekをめぐる集団訴訟」と「Visaが被告となったFleites事件」が混同されやすい状況です。記事では両者を分けて扱います。
決済ネットワークはなぜ成人向けコンテンツに厳しいのか
Visaは現在、成人向けコンテンツやギャンブルなど、合法であっても違法取引リスクが相対的に高い業種を「高インテグリティリスク」の領域として扱い、アクワイアラーに追加審査や継続監視を求めています。Mastercardも成人向け事業者について、出演者・投稿者の年齢と本人確認、明示的な同意、公開前レビュー、苦情対応、削除プロセスなどを要求しています。
この構造では、VisaやMastercardが個々の作品を直接審査しているとは限りません。カードネットワークの規則がアクワイアラーや決済代行会社に伝わり、さらに加盟店・プラットフォームへ実装されます。そのため、最終的なサービス側の制限がネットワークの規則そのものより保守的になる可能性があります。
近年のプラットフォーム研究では、このようなカードネットワークや決済代行事業者を、オンライン成人産業における「事実上の民間規制主体」として分析する研究があります。これは研究者側の概念整理であり、VisaやMastercard自身が「コンテンツ規制者」を名乗っているという意味ではありません。
FANZA事例を因果関係でどう読むべきか
確認できる事実を、因果関係の強さで分けると次のようになります。
① 2024年6月にFANZA同人でVisa決済が止まった
証拠の強さ:強い
当時の報道と現在のFANZA公式ヘルプで確認できます。
② 2020年以降、Visa / Mastercardが成人向け事業者の管理要件を強化した
証拠の強さ:強い
Visa・Mastercard双方の公式資料で確認できます。
③ 米国訴訟がカード会社のリスク認識に影響した
証拠の強さ:中〜強
2022年、裁判所判断の後にVisaとMastercardがMindGeekの広告部門TrafficJunkyでカード受入を停止したことは、両社の公式発表で確認できます。
④ その米国訴訟がFANZAのVisa停止を直接引き起こした
証拠の強さ:未確認
この因果関係は断定しません。確認するには、FANZA、Visa、アクワイアラーなど当事者の一次資料が必要です。
したがって、現時点で最も慎重な説明は、「FANZA固有の停止理由は非公表だが、2020年以降に成人向けデジタルコンテンツをめぐるカードネットワークの法務・コンプライアンス要件が世界的に強化され、その文脈の中で日本でもブランド受入停止が相次いだ」というものです。
公式情報で確認できること・できないこと
- 現在使えるカードブランド:確認可能。FANZA公式ヘルプにサービス別の例外があります。
- PayPayが使えるサービス:確認可能。公式ヘルプに一覧があります。
- 3Dセキュアの利用:確認可能。カード登録・変更・更新時に3Dセキュア認証が必要で、サービスによって利用時にも求められる場合があります。
- 2024年のVisa停止の具体的理由:確認できません。公式な理由説明がないため断定しません。
- 米国訴訟との直接因果:確認できません。国際的な規則強化の背景としては重要ですが、FANZA停止との直接リンクを示す一次資料は未確認です。
- Visa利用再開の具体的時期:確認できません。現在の利用可否は確認できますが、再開日を示す公式案内は今回確認できませんでした。
Visaが使えない場合の主な代替手段
- JCB / DINERS:FANZAブックス、読み放題、FANZA同人でも利用可能
- PayPay:動画、ブックス、同人、通販など複数サービスで利用可能
- DMMポイント:PayPayからポイントをチャージすることも可能
- その他の支払手段:サービスによってペイディ、メルペイ等が利用できる場合があるため公式の支払方法一覧で確認
カード利用時は3Dセキュアにも注意
FANZA公式ヘルプでは、クレジットカードの登録・変更・更新時に3Dセキュア認証が必要で、利用するサービスによって決済時にも認証を求められる場合があると案内しています。カードブランドが利用可能でも、発行会社側の3Dセキュア対応や認証結果によって決済が完了しない場合があります。
決済インフラ研究としてのポイント
FANZAの事例は、単なる「Visaが使える・使えない」という決済手段の話だけではありません。オンラインサービスでは、カードネットワーク → アクワイアラー / 決済代行 → プラットフォーム → 利用者という複数層を通じて、法務・コンプライアンス・レピュテーションリスクが最終的な支払手段に反映されます。
この点は、プラットフォーム統治や決済インフラ研究で「intermediary governance」「private ordering」などとして議論されてきました。公的規制ではなく民間企業のネットワーク規則であっても、決済アクセスを左右できるため、結果としてプラットフォームのコンテンツ管理や事業設計に強い影響を与え得ます。
ただし、一般的な制度構造とFANZA固有の原因は分けて考える必要があります。国際カードネットワークの規則強化は確認できますが、それだけでFANZAのVisa停止理由を特定したことにはなりません。Otakuwalletでは、今後も「確認された事実」「制度的背景」「研究上の解釈」「未確認の因果」を分離して更新します。
また、ユーザー実務では「FANZA全体」ではなくサービス単位でカードブランド受入状況を確認する必要があります。代替決済が増えることは、特定ブランドが使えない場合の決済継続性という観点でも重要です。
今後も公式ヘルプ、カードネットワーク規則、関連訴訟に更新があれば、同じURLで追記します。
出典・参考文献
FANZA / 日本国内
- FANZA公式「FANZAで利用できるクレジットカードはなんですか?」(最終確認:2026年10月2日)
- FANZA公式「PayPay支払いが利用できるサービスは何ですか?」(最終確認:2026年10月2日)
- FANZA公式「3Dセキュアに対応していますか?」
- ITmedia NEWS「FANZA同人でのVisa決済を一時利用停止」(2024年6月14日)
カードネットワーク・米国訴訟
- Visa, Network Integrity(成人向け事業者を含む高リスク加盟店への管理方針)
- Mastercard, Preventing illegal adult content on our network(2021年4月14日)
- Visa, We do not tolerate the use of our network for illegal activity(2022年8月4日)
- Mastercard「成人向けコンテンツの基準を強化する声明」(2022年8月4日)
- Fleites v. MindGeek, 617 F. Supp. 3d 1146 (C.D. Cal. 2022)(2022年7月29日)
- Fleites v. MindGeek — Order re Visa Inc.’s Motion to Dismiss(2025年9月26日)
- Jane Doe v. MindGeek USA Incorporated — Class Action Litigation(別件の集団訴訟)
研究文献
- Franco, R. S., “Controlling the keys to the Golden City”: The payment ecosystem and the regulation of adult webcamming and subscription-based fan platforms, New Media & Society.
- Webber, V. & Franco, R. S., The definitional creep: Payment processing and the moral ordering of sexual content, Sexualities.
- Dahlstrom, J., The New Pornography Wars, Florida Law Review, 75 Fla. L. Rev. 117 (2023).
日本の決済市場全体の統計は日本の決済・クレジットカード統計データ集にまとめています。

