結論:この記事で比べるのは「カードを使う人の割合」ではありません。毎月の消費支出のうち、クレジットカード・掛買い・月賦・ポストペイ等で払った金額が何%を占めるかです。
この記事で分かったこと
① 同じ世帯年収帯で比べても、カード等で払った支出割合には年代差が残りました。
② 30~69歳は、70~79歳・80歳以上より全10所得帯で割合が高くなりました。
③ したがって、今回の年代差は「世帯年収の違いだけ」では説明しきれません。ただし、年齢そのものが原因とは言えません。
総務省統計局の「2024年全国家計構造調査」には、世帯主年齢と世帯年収帯を同時に分けて、購入形態別の支出額を確認できる表があります。今回は全国・総世帯について、年齢7区分×世帯年収10区分の70セルを使って比較しました。
まず、「何の差」を比べるのか
この記事で使う指標は、消費支出に占める「クレジットカード・掛買い・月賦(電子マネー(ポストペイ)を含む)」の支出割合です。以下では短く「カード等で払った支出割合」と呼びます。
たとえば、1か月の消費支出が20万円で、そのうち8万円をカード等で払っていれば、この割合は40%です。カード保有率、カード利用者の割合、決済回数とは別の指標です。
| 指標 | 消費支出に占めるカード・掛買い・月賦・ポストペイ等の支出割合 |
|---|---|
| 対象 | 全国・総世帯。年齢は世帯主、所得は世帯年間収入 |
| 家計収支の期間 | 原則2024年10・11月。1世帯当たり1か月間。通年平均ではない |
| 全国平均 | 32.3%(81,202円 ÷ 251,242円) |
| 一次資料 | 総務省統計局/e-Stat Table 1-106-2 |
年代平均では、30代・40代と80歳以上に大きな差
まず年代平均を見ると、カード等で払った支出割合は30代41.6%、40代39.3%、80歳以上16.6%でした。
ただし、ここで一つ疑問が残ります。若い世帯の方が世帯年収も高いため、カード等で払う割合が高く見えているだけではないか、という疑問です。
そこで、同じ世帯年収帯どうしで比べた
世帯年収を10区分に分け、同じ年収帯の中で年代を比較しました。下の表は代表として30代・40代・80歳以上を並べています。数値はすべて「消費支出のうちカード等で払った金額の割合」です。
| 世帯年収帯 | 30~39歳 | 40~49歳 | 80歳以上 |
|---|---|---|---|
| 186万円以下 | 38.9% | 24.2% | 8.8% |
| 186万円超~259万円 | 30.1% | 26.8% | 13.4% |
| 259万円超~328万円 | 30.8% | 29.2% | 14.2% |
| 328万円超~400万円 | 31.1% | 33.2% | 15.6% |
| 400万円超~483万円 | 35.3% | 34.2% | 19.6% |
| 483万円超~577万円 | 41.4% | 32.9% | 23.5% |
| 577万円超~699万円 | 39.6% | 36.5% | 20.2% |
| 699万円超~850万円 | 44.3% | 39.2% | 21.5% |
| 850万円超~1,100万円 | 47.2% | 41.1% | 23.8% |
| 1,100万円超 | 51.4% | 47.7% | 23.2% |
結果は、同じ世帯年収帯で比べても差が残りました。 さらに30代・40代だけではなく、50代・60代も含めて確認すると、30~69歳の4年代は70~79歳・80歳以上の双方を全10所得帯で上回りました。
30~69歳の4年代と70代・80歳以上の2年代を、10所得帯で組み合わせた80通りすべてで、30~69歳側の割合が高くなりました。差は最小+2.8ポイント、最大+30.1ポイントでした。
たとえば世帯年収400万円超~483万円では、カード等で払った支出割合は30代35.3%、40代34.2%、50代28.7%、60代30.7%に対し、70代24.6%、80歳以上19.6%でした。
ここから言えるのは、「世帯年収の違いだけでは年代差を説明しきれない」というところまでです。 同じ所得帯でも、世帯人数、就業状態、子どもの有無、持ち家状況、購入品目などは年代によって異なり得ます。「年齢が原因」「所得を統計的に調整した」とは言えません。
一方で、所得帯による差もある
年代だけが違いを作っているわけでもありません。同じ年代の中で見ると、30歳以上の6年代すべてで、世帯年収1,100万円超のカード等支出割合が186万円以下を上回りました。
差は30代+12.6ポイント、40代+23.5ポイント、50代+9.9ポイント、60代+7.8ポイント、70代+19.9ポイント、80歳以上+14.4ポイントです。
ただし、所得帯が一段上がるたびに必ず割合が上昇するわけではありません。たとえば30代は186万円以下38.9%に対し、186万円超~259万円では30.1%です。したがって、「高所得ほど必ずカード等で払う」ではなく、全体として高所得帯で割合が高い傾向と読むのが適切です。
高所得の高齢世帯でも、現金等が過半
世帯年収1,100万円超でも、70~79歳ではカード等32.8%、現金等62.7%。80歳以上ではカード等23.2%、現金等71.5%でした。
つまり、「高齢世帯でカード等支出割合が低いのは、単に所得が低いから」とだけ考えるのも十分ではありません。一方で、その理由が年齢なのか、購買場所、家族構成、利用サービスなど別の要因なのかは、この表だけでは分かりません。
年齢×世帯年収の70セルを一覧で見る
各セルの数値は「消費支出のうちカード等で払った金額の割合(%)」です。30歳未満の4セルは集計世帯数(概数)が100未満のため、※を付けて視覚的にも弱めています。
| 世帯主年齢 | 186万円以下 | 186万円超~259万円 | 259万円超~328万円 | 328万円超~400万円 | 400万円超~483万円 | 483万円超~577万円 | 577万円超~699万円 | 699万円超~850万円 | 850万円超~1,100万円 | 1,100万円超 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 22.4※ | 28.0 | 34.0 | 35.0 | 40.2 | 34.0 | 34.1 | 57.9※ | 44.2※ | 56.8※ |
| 30~39歳 | 38.9 | 30.1 | 30.8 | 31.1 | 35.3 | 41.4 | 39.6 | 44.3 | 47.2 | 51.4 |
| 40~49歳 | 24.2 | 26.8 | 29.2 | 33.2 | 34.2 | 32.9 | 36.5 | 39.2 | 41.1 | 47.7 |
| 50~59歳 | 28.9 | 28.6 | 30.5 | 29.1 | 28.7 | 32.1 | 32.8 | 33.6 | 31.8 | 38.9 |
| 60~69歳 | 29.6 | 30.2 | 29.1 | 29.7 | 30.7 | 31.0 | 33.0 | 32.0 | 35.1 | 37.5 |
| 70~79歳 | 12.9 | 21.1 | 18.5 | 23.7 | 24.6 | 26.1 | 30.0 | 25.0 | 26.5 | 32.8 |
| 80歳以上 | 8.8 | 13.4 | 14.2 | 15.6 | 19.6 | 23.5 | 20.2 | 21.5 | 23.8 | 23.2 |
※ 集計世帯数(概数)100未満。該当は30歳未満の186万円以下、699万円超~850万円、850万円超~1,100万円、1,100万円超。100はOtakuwalletの編集上の注意基準で、総務省の公式な精度基準ではありません。
この統計で言えること・言えないこと
| 言える | 2024年10・11月の全国・総世帯について、世帯主年齢×世帯年収帯別に「カード等で払った支出割合」がどう違うか |
|---|---|
| 言える | 同じ世帯年収帯で見ても、30~69歳と70代・80歳以上の差が残ったこと |
| 言えない | 年齢そのものが差の原因であること |
| 言えない | カード保有率、決済回数、個人の最適な支払い方法 |
| 注意 | 家計収支は原則10・11月の調査で、通年平均ではない |
データの検証方法
正本のTable 1-106-2は23分割CSV、合計2,216,448行を取得し、ファイル単位のSHA-256を記録しています。70セルについては、合計と「現金等・カード等・プリペイド」の3成分の再構成差が最大±1円であることを確認しました。
また、全国平均はTable 1-103、年齢の周辺分布は総務省統計局の公式概要(Table 1-104出典)、所得の周辺分布はTable 1-105-2で独立照合しています。Table 1-105-2では13所得区分×4購入形態の52値を照合し、52値すべてが一致しました。
調査期間には注意が必要
総務省統計局の「利用上の注意」では、家計収支に関する結果は原則として2024年10月・11月の収支を調査したもので、通年の収支ではないとされています。また、家計収支には季節性があるため、10・11月の内容がそのまま年平均を代表するものではありません。
次回更新では、結論も再判定する
今後の更新では数字だけを手入力で差し替えません。新しい公式rawから70セルを再生成し、独立QA、LOW_N判定、主張の再計算を行います。今回の「80通りすべてで同じ方向」という主張も、新データで1件でも逆転すれば「全所得帯で」という表現を変更します。
関連するデータ
- 家計のクレジットカード等支払い割合の推移|2009年10.9%→2024年32.3%
- 主要費目別「後払い」割合ランキング2024
- 都道府県別「クレジットカード、電子マネー等」支払割合
- Otakuwallet 決済統計データハブ
一次資料・出典
| 資料 | URL | 公開・更新 | 対象 | 取得 |
|---|---|---|---|---|
| e-Stat Table 1-106-2 | 0004039851 | 2025-12-19 14:00 | 2024年 | 2026-09-20 |
| e-Stat Table 1-103 | 0004039869 | 2025-12-19 | 2024年 | 検証済み |
| e-Stat Table 1-104 | 0004039780 | 2025-12-19 | 2024年 | 公式概要で照合 |
| e-Stat Table 1-105-2 | 0004039849 | 2025-12-19 | 2024年 | 2026-09-20 |
| 令和6年全国家計構造調査 利用上の注意 | 総務省統計局PDF | 2026-08-28版 | 2024年調査 | 2026-09-20 |

