テクノロジー企業が決済領域に進出することへの懸念点について
決済は、リスク、流動性、テクノロジー、ネットワーク、慣習から成る。銀行は最初の二つは得意としているが、その次の二つに関しては平均的であり、最後の一つに関してはほかの誰よりも不得手である。
テクノロジー企業は、いわば銀行を反転したような存在である。テクノロジーとネットワークは大得意で、慣習を創り出すことにも長けているが、リスクと流動性に関しては何の専門知識ももたない。
それにもかかわらず、これらの企業が今、決済に殺到している。ネットワークの力とマーケティングの見識によって、決済を預金から切り離し、その過程で決済の習慣を変えつつある。これらの企業がもたらした決済の簡便性が、商取引を刺激している。
一方、見逃されているテクノロジー企業が決済領域に進出することで生じている問題点についても考えてみたい。
- データプライバシーの問題
テクノロジー企業が決済に関わることで、個人情報が彼らの手に渡ることになる。これによって、個人のプライバシーが侵害される可能性がある。また、個人情報が漏洩した場合、顧客に対する信用や企業の評判にダメージを与えることもある。
- 消費者保護の問題
テクノロジー企業が決済に進出することで、消費者保護の問題が生じる可能性がある。銀行と異なり、テクノロジー企業は消費者保護に関する法律や規制に詳しくない場合があるため、不正行為や詐欺などが発生した場合に、消費者を保護することができない可能性がある。
- 政府への影響
テクノロジー企業が決済に進出することで、政府への影響が生じる可能性がある。例えば、テクノロジー企業が大量の決済データを保有することで、政府が犯罪やテロリズムなどを監視する上での情報源として利用されることがある。このことが、個人のプライバシー権を侵害する可能性がある。
- 金融システムへの影響
テクノロジー企業が決済に介入することで、金融システムへの影響が生じる可能性がある。例えば、テクノロジー企業が大量の決済データを処理することで、銀行の仕事を奪ってしまうことがある。また、テクノロジー企業の決済システムがシステム障害を起こすことで、社会全体の決済システムに停止をもたらす可能性がある。
- 競争の問題
テクノロジー企業が決済に参入することで、銀行業界に競争の問題が生じる可能性がある。テクノロジー企業の決済システムは、銀行が提供するサービスよりも簡便であり、低コストのため、消費者からの需要が高まることがある。その結果、銀行の収益が低下することがある。公平な条件で互いに競争することは可能なのであろうか?
以上が、問題点の一例である。今後、テクノロジー企業と銀行業界がどのように共存、競合し、相互に作用するのか引き続き注視したい。