リテール決済の普及において大きな役割を果たすのは慣習!?


想像して欲しい。何百万もの消費者や企業が、毎日たがいに支払いをおこなう必要があり、そのための共通のシステムを必要としている。そのような巨大なシステムを刷新するにはどうしたらいいのだろうか?何から始めるべきなのだろうか?新しいリテール決済手段の導入は、簡単なことではない。

慣習やツールが実際に役立つようになる前に、まず普及に必要な最小限の人数に選ばれる必要がある(early adopter)。新しい決済手段を使いたいと思う顧客がいないのであれば、店がそれを取り入れても何の役にも立たないし、消費者が新しい決済手段を使い始めても、それを受けつける小売店がまったくないのであれば意味はない。リテール決済において、慣習が重要な理由はここにある。

消費者や小売店は、これまで長年にわたって利用してきた決済手段の慣習に従い、新しい決済手段が利用できない場合には、新しい手段に切り替えることをためらう。そのため、普及には相当の時間がかかり、継続的な取り組みが必要となる。また、慣習は決済手段の利用者にとっての信頼性にも関係している。一般に、受け取り側の小売店や消費者が、利用する決済手段について安心できるかどうかは、長年にわたって利用されている慣習やシステムの安定性や信頼性に依存することが多いため、新しい決済手段の利用率が低い場合には、その決済手段に対する信頼も低くなるだろう。

従って、新しいリテール決済手段を導入するにあたっては、現状の決済慣習に沿いつつ、並行して新しい決済システムの利点や特色をアピールすることが重要であり、最終的には、消費者や小売店が新しい決済手段に十分なメリットを見出し、それを取り入れる意欲や需要が高まることが必要となる。


リテールにおいて消費者の行動を変えることは簡単ではない。だからこそ、成功をおさめている決済イノベーションのほとんどは、既存の慣習をベースにしている。たとえば、アップルペイはデビットカードとクレジットカードを中心につくり上げられている。例外もあるが、たがいに定期的に支払いをおこなう小規模な人々・企業のグループに焦点をしぼって始めるのが一般的である。ペイパルはこうしたイノベーションの好例で、萌芽期のイーベイでの取引を円滑にすることで成長した。クレジットカードも同じく良い例で、1950年代に、ニューヨークの同じレストランをよく利用していた少数の客のグループにサービスを提供することから始まった。

リテール決済において何よりも重要なことは、利便性や安全性を高め、既存または新しい顧客のニーズを満たすことです。また、既存の慣習や習慣を尊重しながら、それを改善することが何より重要である。

クレジットカードは少数のグループにサービスを提供することから始まり、今では世界中で広く利用されている決済手段である。リテール決済の普及には、顧客のニーズに合わせた革新的なアプローチを取り、既存の慣習や習慣をベースにしながら、より良い決済体験を提供することが不可欠である。

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