あらゆる形態の決済は、価値の移転にもつきものの、三つの根本的な課題にとりくむ必要がある
リスクとは
ある行為あるいは決定を行った場合に、予期しない損失や被害を受ける可能性があることを指します。例えば、銀行が貸し出したお金が返済されないケースを指して、その銀行にとっては貸し出しをする際に、リスクがあると言えます。同様に、クレジットカードの利用もリスクが伴います。カード所有者は、不正利用された場合、損失を被る可能性があります。(基本的にはカード会社が損失を補填する。)
流動性とは
資産や取引市場がどれだけ早く、低コストで現金化されるか、あるいは取引が裁定されたかを測定する指標です。例えば、資産の流動性が高ければ、それを市場価格で素早く現金化できるため、需要や供給の変化に迅速に対応できます。一方で、流動性が低下すると、資産を現金化することが難しくなり、価格の乱高下や市場の不安定化、長期化などが起こる可能性が高くなります。
決済において、流動性が低下すると、決済が処理されるまでの時間が長くなったり、手数料が増えたりすることがあります。流動性が高いと言うのは、いつでもどこでも取引を行うための準備が整っていることを指します。例えば、ATMから現金を引き出すとき、自分の銀行口座に十分な残高があるかどうかを確認する必要があります。これは、決済が正常に行われるためには常に流動性が保たれている必要があることを示しています。
(上記の通り、リスクと流動性はトレードオフの関係にあると言われる。)
慣習とは
「慣習」とは、社会の中で個人が互いに認め合って実践している無形のルールや習慣のことです。何らかの行動や決定をする際に、常識や社会通念から導き出される合意形成の仕方や思考パターン、行動規範などが慣習的に定着しています。経済やビジネスにおいても、取引のあり方や支払いの方法、契約やトラブルの解決の手続きなどは、その文脈における慣習に則って行われることが多く、しばしば法的に規定されることもあります。たとえば、一部の国では請求書を送信する前に支払いを受け取る必要がある場合があります。慣習が異なる場合、適切な許可や手続きを実施しなければ、取引がうまく進まないこともあります。
以上のように、「リスク、流動性、慣習」は、どんな形式の決済にも関係する根本的な課題です。これらをうまく管理することが、安全で信頼性の高い決済システムの構築に不可欠です。また、現代の決済システムは、リスクと流動性を最小限に抑え、受容と利用という形で慣習を最大化していると考えられる。